腹式呼吸
続いては「腹式呼吸」。喉を開くエクササイズを説明したときに、「息は声のエネルギー源だ」ということを述べましたが、このエネルギー源となる息を作り出すのが腹式呼吸です。
エクササイズを行う前に、「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の違いはご存じでしょうか? 「胸式呼吸」では、息を吸い込んだときに胸のあたりが膨らみ、「腹式呼吸」ではみぞおちの下あたりが膨らみます。
高音を出すときだけでなく、 歌を歌う際は圧倒的に後者の「腹式呼吸」が適しています 。
以下の動画では腹式呼吸を解説してくれていますので、腹式呼吸がよくわからなという方は参考にしてみてください。
では、実際にどのような練習をすれば良いのか見ていきましょう。
◆ 腹式呼吸を習得する方法
「腹式呼吸」で息を限界まで息を吸う
歯と歯の間から「シーーーーッ」と息を吐き出す
これを3~5セット繰り返す
※15秒間息を出し続けることが出来れば上出来です。
安定した息の供給が出来るようになれば、その安定した息に乗って高音も出やすくなります。
3. 5トーンスケール
最後は5トーンスケールエクササイズです。
「5トーンスケール」というのは長音階(ドレミファソラシド)の最初の5音(ドレミファソ)のことですね。この 5音を半音ずつ上がっていくエクササイズ です。
何を言っているかよく分からないという人もいるかもしれませんが、特に気にしなくても大丈夫です。
YouTubeで「5トーンスケール」と検索してみてください。するとこのようなモノが出て来ます。
これに合わせて歌っていきます。そして限界の高さまで歌いましょう。最後まで歌いきれる人は少ないはずです。
また、どこまで歌えたかを記録するために、 動画の秒数を控えておくのも良い ですね。
この様な動画で毎日練習すれば、ちょっとずつですが高音が出せる様になります。
2. 練習を日課にしよう!
鼻歌で歌う
まず、裏声習得において大事なのが「 リラックスすること 」です。
裏声のような高音を出そうとすると力んでしまいがちですが、それは完全に逆効果である上に、喉を痛める原因にもなります。
体や喉、声帯がリラックスしているということが大前提になります。
では、体や喉、声帯をリラックスさせるためにはどうすれば良いのでしょうか? その答えが「鼻歌」です。
お風呂場なんかで歌う何の変哲もないただの「鼻歌」ですね。
なぜ鼻歌が喉をリラックスさせるのに有効かというと、 リラックスせずに鼻歌を歌う方がそもそも難しいから です。
誰に聞かせるでもなく、自分にしか聞こえないような声でいつも通りの鼻歌を歌ってみましょう。そしてその脱力感や、鼻から声が抜ける感覚を覚えてください。
その感覚を意識することが裏声習得につながります。
2. リップロールで歌う
声帯のリラックスを語る上で欠かせないのが「リップロール」です。
「リップロール」はプロのボーカリストの中でやらない人はいない と言っても過言ではないくらい主流なエクササイズです。
特に、声帯のリラックスと高音を出すということにフォーカスを当てたエクササイズなので、ぜひ毎日行ってください。
では実際にやってみましょう。動画を参考にリップロールのやり方を解説していきます。
◆ リップロールのやり方
唇を軽く閉じた状態で前に突き出す
息を吐き出して唇をブルブルと振動させる
音程なしで10秒くらいリップロールをする
音程をつけてリップロールをする
※音はどの音でも構いません
好きな曲をリップロールで歌う
◆ リップロールのコツ
両手で頬を持ち上げる
水を飲んだり、リップクリームなどで唇を湿らせる
このリップロールのエクササイズが 喉や顔面の筋肉をリラックスさせ、裏声や高音を出すのに適した状態にしてくれます 。
ちなみに動画の中で出てくる「ミックスボイス」とは裏声の一種の歌唱法のことです。
3. 裏声と地声を交互に歌う
さて、なんとなく裏声の感覚がつかめたでしょうか? 裏声をなんとなく出せるようになったら、次はそれを歌で実際に使えるようにコントロール出来るようにしていきます。
「実際に使えるようにコントロール」、とはどういうことかというと、
◆ 裏声をコントロールするとは? 裏声を出したいと思ったタイミングで出すことが出来る
地声に戻りたいとタイミングで戻ることが出来る
状態です。
そんな状態になるために有効なのが「 往復練習 」です。往復練習とはその名の通り、地声と裏声を往復する練習です。
◆ 往復練習のやり方
まず、地声での高音域の音を出す
その後、音程を上げて、裏声で歌う音域に入る
そしてまた、地声の音域に戻る
地声→裏声→地声→裏声
これをくり返します。
この練習を行うことで、地声と裏声の切り替わりがスムーズになり、「ここは裏声だ!」と思ったときに、喉がスッと裏声モードになってくれます。
ちなみにこの「裏声」に関してもっと深く知りたいという方は、「裏声」についてのみを扱った記事があるので参考にしてみてください。
【参考】 カッコいいシャウトの出し方を紹介!
注)理屈から入りたいという方はスルーしてくださいネ。
ようは、
①ふだん何気に使えている高い声を、②そのまま歌でも使えるようにする。
とりあえず、これだけです。
はじめに、 ①の、歌とは関係なしに、ただ単純に高い声を出すことができるか? ですが、
◆レッスンでも、ちょっとコツをお話ししてイメージしながらやってもらうだけで、
約50% の人は、すぐに高い声が出せます。
◆それ以外の 約40% の方は、途中でひっくり返ったりかすれたり、力が入ったりして、上手くいきません。
これはやはり、自然にやろうと思っても、どこかしこに力が入ってしまうからです。
この 40% の人は、すぐには上手くいかなくても練習していくうちに声が繋がってきて高い声もラクに出せるようになります。
◆残りの 約10% は、声がなかなか繋がらずにギャップが生じてしまったり、高音で声が詰まってしまう人です。
それでも時間をかけて丁寧にボイトレすると、少しずつ改善されていきます。
このように、私の今までのレッスンの経験(対象者は2000人以上になると思います)からざっくりお話ししていますが、皆さん高い声自体は、結構ラクに出せるんですよ〜(^^)
マジですか!?これが高い声を出すための練習法? では、ここからは実践。
簡単なので、ぜひやってみてください。
まずは、 ①の、ふだん何気に使えている高い声に注目。
Step1 自然に高い声が出せることを確認しよう! 話すくらいの低めの音程でハミングをする。
「んーーーーーーーん」と、ロングトーン(ひとつの音を長ーく)でやってみてね。
この時、鼻の奥にビーーーーーンと、響きの中心を感じることができればOK。
響きの中心が感じられないとか、ふわふわして安定しない場合は、息が漏れているので、息を止める感じでやってみましょう。
安定して響かせられるようになったら次へ! その音からスタートして一気に「ん?」⤴︎⤴︎と、短く(1秒で)音をあげてみよう。
ちょうど会話の中で聞き返すときのように「ん?」⤴︎⤴︎ って感じに(^^)
これは、皆さん日常で結構やりますよね? これがちゃんと出来れば問題ありません。
ポイントは、頭蓋骨の内側を転がっていくように、高い音まで一気に、そして大袈裟にやってみることです。
その「ん?」(1秒)を少しずつ長めに「ん〜〜ん?」(3秒で)「ん〜〜〜〜〜ん?」(5秒で)というように、低音から高音まで一息で出してみよう。
この時、
・高い声でぎゅう〜と力が入ったり、ふわっと力が抜けたりしないように。
・1秒でやっている時の体の状態や感覚をそのまま変えずに。
・とにかく、すこ〜しずつ長めにしていくことが重要。
そして鼻から上のポジションをイメージしながら
そのライン上で声が動いていくようにやってみるとGOOD!!